又吉直樹『人間』 僕達は人間をやるのが下手だ。

38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?

あらすじ

 絵や文章での表現を志してきた永山は、38歳の誕生日、古い知人からメールを受け取る。若かりし頃「ハウス」と呼ばれる共同住居でともに暮らした仲野が、ある騒動の渦中にいるという。永山の脳裡に、ハウスで芸術家志望の男女と創作や議論に明け暮れた日々が甦る。当時、彼らとの作品展にも参加。そこでの永山の作品が編集者の目にとまり、手を加えて出版に至ったこともあった。一方で、ハウスの住人たちとはわだかまりが生じ、ある事件が起こった。忘れかけていた苦い過去と向き合っていく永山だったが――。

 漫画家、イラストレーター、ミュージシャン、作家、芸人……。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待っていたものとは?

推薦コメント

表現で生きていく、ということ。そして、東京で生きていくということ。これは表現者たちの小説であると同時に、「東京」を描いた物語でもある。東京という街が持つ、独特の掟、話法、関係性の、泥臭さと不自由さ。解放感と劣等感、自由と嫉妬。
大阪、沖縄、奄美を経て東京は解体され、そして物語の果てに私たちはふたたび、東京に出会う。

岸政彦(社会学者)

人間は、愚か生きているんじゃなくて、愚か生きている。
又吉さんは、人間の愚かさを信じているんだと思う。そして、愛しているんだと思う。

西加奈子(小説家)

今後の又吉文学にとっての、重要な萌芽がいくつもある。そのすべてが美しい。

中村文則(小説家)

読者の声

「どう感じたのか」と問われたら、きっとすべてを暴かれてしまう。
私にとって『人間』とはそんな作品だった。
動悸が治まらない。すごい小説と出会ってしまった。

丸善丸広百貨店 東松山店 本郷綾子さん

このタイトルは凄いです。
まさに「人間」でした。
「人間」を読むことができてよかったです。

未来屋書店 高崎オーパ店 山本智子さん

自分の内面の深淵を掘られているようで悲鳴をあげて、知らぬ間に泣いていた。
自分も人間だから、自分の中の人間とつき合うのは直視できないことがある。
人間は辛いけど、人間として生きるとあらためて決心した。

ジュンク堂書店 滋賀草津店 山中真理さん

「最初に受けた痛みは薄まることがなく、鮮烈に残ってんねん」
私はこの言葉に出会うためにこの本を読んだ気がする。

みどり書房 白河店 矢野隆子さん

Show More

著者プロフィール

又吉直樹

(またよし なおき)

1980年大阪府寝屋川市生まれ。吉本興業所属の芸人。お笑いコンビ「ピース」として活動中。
2015年に本格的な小説デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞。
2017年には二作目となる小説『劇場』を発表。
2018年9月より翌年5月にかけ、初の新聞小説となる『人間』を毎日新聞夕刊で連載。
他の著書に『第2図書係補佐』『東京百景』などがある。